テラウチマサトプロフィール

三宅花奈プロフィール

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

心のドアを開けたい!南の島で写真に救われた

Chageのこだわりその3

  • 今回は、写真を職業としている方たちとじっくりお話をしたいなあと思い、テラさんと花奈ちゃんにラブコールをしました!
  • ありがとうございます。
  • おふたりは初対面ですよね?
  • はじめまして、です。
  • では、それぞれをご紹介する意味も込めて……。まず、テラさんですけど、僕は以前からテラさんが編集長を務める『PHaT PHOTO』の愛読者だったんです。たまたまファンクラブのスタッフがテラウチさんのことをご存じで、それで紹介して頂いたんですよ。
  • あの時は嬉しかったです。
  • 僕もですよ。
  • 正直、最初は苦労していましたから「あのChageさんも読んでくれているんだ!スゲー!」と興奮しちゃってね(笑)
  • カメラ雑誌ってちょっと敷居が高い感じがするんです。でも『PHaT PHOTO』はスッと入り込める遊び心を作ってくれていて、その切り口が嬉しかったんですよね。
  • 結構変わった雑誌ですから(笑)。
  • そして花奈ちゃん! 花奈ちゃんは2009年に出した僕の写真集『歌写!♪』の編集者として大活躍してくれたんだけど、その節は本当にお世話になりました。
  • こちらこそ、ありがとうございました。
  • 花奈ちゃんに昔の作品等、色々見てもらった上で“撮り下ろしも”ということになり、せっかくだったら日本の最北端か最南端に行きたいと言ったんです。でも、撮影が2月だったので、この時期の北はキツいだろうという話になって(笑)。
  • きっと、カメラが凍ってシャッターが押せませんからね(笑)。
  • そうそう。それで最南端に決まった。石垣島のもっと先の波照間に。
  • 凄い!(写真集を見ながら)これ、波照間なんですか!?
  • そうなんです。あの時は楽しかったなあ。丁度あの頃、心のドアをバンって開けたい、空気入れ替えたいという気持ちがあって、それを花奈ちゃんが察してくれたんですよ。ポーンと僕を東京から連れ出し、南の島というロケーションを与えてくれた。しかも、自由にシャッター押すチャンスを作ってくれたんですから本当に有難かったです。
  • 僕もドアを開けて欲しいな(笑)。
  • (笑)。波照間に行けたのは、Chageさんのスタッフさんたちのおかげです。私も本当に楽しかったです。
  • 撮影に行った2009年2月というのは、今振り返ってみても悶々とした部分があったんですよ。CHAGE&ASKAの活動休止を発表し、多くの人に迷惑かけちゃったなっていうのもあったし、自分の中でもリセットしたいという気持ちがあって、それを上手く花奈ちゃんが引き出してくれて。ただね、一番最初に“靴”脱いだのこの人だから(笑)! 海の青さにビックリしていきなり靴脱いだ写真、あるでしょ。
  • (照れて)写ってますねぇ。
  • (写真集を見て)ホントだ。三宅さん、モデルになっていたんですね!
  • 気付いたら後ろからChageさんに撮られていました(笑)。
  • 心の解放を表しているでしょ。

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

カメラマンと被写体とのコラボで生まれる良い写真

  • Chageさんの写真を初めて拝見した時、何といってもライヴの時にステージ上からお客さんたちを撮った写真に感動しました。あの様な写真をそれまで見たことがなかったですし、凄く迫力というかパワーを感じて!びっくりしましたね。
  • お客さんが凄いんですよ。み~んな、いい顔しているの。例えば、ライヴ映像やライヴ写真というのは俺たちを写す。でもね、逆に俺から見たお客さんの表情や熱気、エネルギーは“俺が押さえなきゃいかんだろ”と思ってね。ほら、ライヴ会場はカメラ持ち込み禁止だから観客の皆さんは撮れないけれど、ステージ上はいいんだと。演っている本人が撮っているのはいいという、まっ、ある意味、特権を利用して撮り始めたわけですよ(笑)。ところが、カメラを向けるとこれがもう最高の笑顔を見せてくれる。だから、とびきりの写真が撮れちゃうんですよね。それでお客さんに「今日もいい写真が撮れたよ。いつもその笑顔でいろよ~」と言っているんです。とはいえ、日常生活では必ずしも笑顔ばかりではいられない。いろんなコトがありますからね。それでも、ライヴに来ればそういう表情が自然と出ますから、それをどうしても収めたかった。
  • 役得ですね!
  • そういうテラさんは、撮影する時に自分の存在を消さなきゃいけない場合もあるんじゃないですか?
  • 確かにそうですね。
  • 僕の場合は消せないから逆に利用してるんです。“Chageが撮ってる”というのを主張する撮り方。ホントのコトいえば、僕も存在を消して写真を撮ってみたいんですけどね。
  • 存在感を出していく撮り方と、最初から消していく撮り方のふた通りがあると思うんです。ただ、どっちがいいのか僕にとっても究極の課題ですね。
  • そうですよね。因みに、僕の場合、カメラを向けられると、つい構えちゃうんですよ。
  • (大きく頷いて)例えば、カメラマンがモデルに向かってしゃべりかけることがありますよね。「Chageさん、カッコいい!」とか「今の表情、良かった!」って。このパターンではなく、僕は最近、何もしゃべらないで撮っているんです。撮影の時にいきなり黙って撮り始める。そうすると相手は「この人、何?」ってなるんですよ。それでも黙ってるから、「ちょっと音楽かけていいですか?」と言い出したりして。「どうぞ」と答えた後、再び黙々。その内、相手が「これは何とかしなくちゃ」と思い出す。そこからの方が面白いモノが撮れたりするんです。
  • 撮影中ってカメラマンさんとアーティストのコラボですよね。バーンと気持ちがジョインした時や、ここぞという瞬間を必ず捉えてくれるのは、コラボが成功した証拠。
  • さすが! よく解ってらっしゃる。
  • 自分が“今だ!”と思った丁度その時、カシャっと音がする。それはやっぱり良い写真になってるんです。だからあの時間はコラボだなあと。
  • 本当にコラボって大事だと思います。「君の好きな様に撮ってあげるよ」では、コラボにならないですから。だから逆に黙っているんです。そうすると、このカメラマンには自分から仕掛けなきゃいけないと考えてくれる。
  • それはあるかもしれないですね。

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

有名カメラマン・テラウチ氏のファーストカットは…

  • カメラはいつから?
  • 小学校4年生です。遠足の時、父親のカメラを借りたのが最初です。
  • 当時のカメラって家の中にあるモノの中でも高級品でしたよね。しかもお父さんのモノでしょ、それを4年生の時に?
  • コンパクトカメラでしたけどね。
  • オートハーフみたいなやつ?
  • そうです。そこから入りました。
  • どんな写真だったか覚えてる?
  • 覚えてますよ。ネガとプリントで上がってきたんです。
  • 景色を撮ったんですか?
  • 違います。えっと……クラスの好きな女の子(笑)。でもね、その子に声を掛けられないんですよ。カメラを構えてること自体、恥ずかしいし。だから、変な表情の写真が上がってきてガッカリしてね(笑)。
  • (爆笑)。心臓がバックンバックンしてんだ(笑)。で、本気でカメラやろうかなっていうのはいつ頃?
  • 僕はカメラマンになろうというより編集者になりたかったんです。高校の頃からの夢でした。
  • えっ、高校生!早いですね。
  • それで、出版社に入ったんですが。
  • そういう花奈ちゃんはいつ頃、編集者になりたいと思ったの?
  • 大学の時からです。
  • だったら、僕とあんまり変わんないよ。
  • やっぱり本が好きだったの?
  • 好きでしたし、同時に父の影響で写真やカメラにも興味があって。父は写真をコンテストに応募するほどのカメラ好きでしたから。それで私も子供の頃からカメラに興味を持ち始めたんです。自分の幼い頃の写真を見るとカメラを首から下げていたり、私が家族を撮った写真が多いんですよ。活字にも写真に携われる仕事に就きたいと思ったのは、きっかけのひとつでした。
  • Chageさんは子供の頃からミュージシャンを目指していたんですか?
  • 昔から歌は好きでしたけど、まさかデビューするとは思っていませんでしたね。今にして思えばラッキーでした。ただね、ラッキーって凄いことだと思うんですよ。もちろん、実力もある程度は必要でしょうけど、やっぱりラッキー、運というのは大事ですよね。それと縁。繋がっていくモノ。ASKAと巡り会ったのも縁ですし。

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

瀕死の撮影体験

  • テラさんは撮影していて、死にそうになったことがあるそうですね?
  • 宮古島の海中で撮っていた時のことです。珊瑚礁があって上を見ると太陽がキラキラしていて、最高のシチュエーション。その場所でクマノミという魚が来るのを待っていた。最初、ボンベを背負っていたんですがボコボコと泡が出ちゃう。でも、撮影中は泡が邪魔なので思い切って外してしまったんですよ。そうしたら、僕は余り、泳ぎが上手くないから浮いちゃうわけ。だったら、肺の空気を全部出して沈もうとしたんですけれど、今度は苦しくなる。それで、ジャック・マイヨールの本に書いてあった“水中で呼吸する方法~それは血液中の酸素を吸うこと”という文を思い出して、試してみたらなぜか出来た気がしたんです。それで5枚くらい撮って、時間にしてどれぐらいだったかなあ、とにかく、船に上がり「すごいのを撮ったぞ」と言った途端、バタンキュー。気が付いた時は東京の病院のベッドの上。
  • 宮古島の海から病院まで、何も覚えていない?
  • 救急車に乗った事は覚えていますが気が付いたら真っ白なベッドに寝ていました。「ここ、どこですか?」って聞いたら東京の病院だって言うので、そりゃ、驚いたのなんのって。
  • 写真は撮れたんですか?
  • 撮れました。だからその写真は今でも大事にしてます(笑)。そんな風に死にかけたことは何度かありますよ。骨折も5回はしてますし。
  • 撮るのに夢中になって?
  • 滝壺に落ちたりとか。
  • 爽やかにおっしゃっているのも凄い(笑)。
  • 花奈ちゃんも編集仕事で死にかけたことがあるんじゃないの? あっ、それは徹夜か(笑)。
  • でしたら、今日も死にかけです(苦笑)

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

時代と共に変化しているChageの写真

  • Chageさんの写真って、以前はカッコイイ写真だったんですけど、段々、温かくなってきている気がします。そして今はもう完全にフリー。
  • うわぁ~、なんか、グサッとやられた気分ですよ。やっぱり、プロはお見通しなんだなあ(笑)。実は、カメラを始めたのはCHAGE&ASKAが1番忙しくなり始めた時期なんです。だから無意識にCHAGE&ASKAブランドを……。
  • 背負ってたんだ。
  • そう、背負ってた。カメラも背負ってた(笑)。だから、ちょっとカッコ良くキメなきゃいかん、みたいな……。うん、凄い的を得てますよ!
  • 期待や周囲のイメージに応えなきゃいけないというのがあったんでしょうね。でもそれが、どんどん変わって来ているとこがいいなあと思ったんですよね。
  • 確かに、最初の頃は特にアーティスティックな感じの写真が多かった気がしました。
  • お洒落な雰囲気もあったし。でも僕は今の温かい写真の方が好きですね。
  • 写真って難しいですよね。本来、撮った瞬間にリアルな温もりはなくなるものですから。
  • でもね(波照間の写真を見ながら)Chageさんは本当に温かい人なんだって感じるんですよ。しかも心が自由だなって。
  • 南の島に住んでいる人の気持ちや優しさを実感したからでしょうね。忘れていた大切なモノを思い出させてくれたって言うか。“俺たちの子供の頃はこうだったよね”っていうのが残っていたんですよ。景色、そして人情。だから楽しくて懐かしくて。なんだか自分が小学生に戻った様な気分でした。

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

デジカメが可能にする対人コミュニケーション

  • まあ、ナンダカンダ言っても、デジカメが主流になったことは僕みたいなアマチュアにとって凄い利点だったと思っています。だって瞬時に撮ったモノが見られるし、相手ともコミュニケーションが取れますからね。「ホイッ、撮ったよぉ」とか言って見せてあげられる。やはり、デジカメは便利ですよ。銀塩の時は、そんなことまず無理でしたから。そりゃ銀塩には銀塩の良さがありますけどね。
  • アコースティック・ギターとエレキ・ギターの違い、そんな感じかも。
  • 今は携帯でも撮れる時代ですから、世の中に写真が溢れているでしょう。だからこそ、Chageらしい写真を撮りたいという想いが高まっているんです。俺にしか撮れない写真っていうのが絶対あるはずだって。
  • ステージからの写真はまさにそれ。
  • うん、僕にしか撮れない。しかも、そういう機会があるのが嬉しいんですよ。お客さんと一緒に共有している時間や空間を残せることが。ほら、修学旅行の時に記念写真を撮りますよね。それと同じ感覚なんです。俺たちもライヴに行ったらその街の記念写真撮ろうよっていう発想。
  • そういえば先程、自分の存在を消して撮るパターンと存在を活かして撮るという2つのパターンがあるとおっしゃっていましたけど、波照間でのChageさんは、どちらのパターンでもなく、そこに馴染んで撮っているような・・・・新しい撮り方だったと思います。
  • 写真を見ても溶け込んでいるのが解ります。
  • 初めてお会いした方のお家にお邪魔して撮っているのに(笑)。
  • 極普通の家にお邪魔したんです。そのお宅、大家族で、いきなり昼間から酒飲んでるの(笑)。特別な日でもないのに親戚のみんなが集まって来てくれて大宴会が始まっちゃってね。三線も弾いてくれたりして、それがとっても心に響いたんですよね。僕も見様見真似で弾いちゃったし、弾いてる自分が可笑しかったりして(笑)。
  • みんな踊り出してましたよね。
  • 踊ってた、踊ってた!

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

音が聴こえる写真展をやりたい

  • コンサート等で空気や場を作っているChageさんだから、それが撮影にも生かされるんですよ。クリエイティブな人は、一瞬にして場の空気を変える力を持っている。
  • そうですね。またカメラマンによっても、空気の変え方は全然違いますよね。
  • 本当にそうだよね。僕らは定年退職もない、スポーツ選手のように引退もない。自分で決めるしかない、という危うさと面白さの2つの側面で生きている。そんな風に自分でイニシアチブを取れる部分に対してプライドを持ち続けている職人さんみたいな人が好きなんですよ。そういう人って構えていないんですよね。テラさんもそう。ホンモノは構えない。しかもウンチクを垂れない。カメラってついウンチクを垂れたくなるんです。レンズがどうのって。確かにそれも大切なんですけど、それを越えた人は余り口に出さない。俺の場合はまだ言っちゃうんですけど(苦笑)。
  • 語らないというより、ウンチクを語るとアマチュアに負けるんですよ。
  • そこなんですよ。アマチュアの方がある部分凄いんですよね。音楽もそうですよ。音楽も今やパソコンで作れちゃいますから。そうなるとアマチュアの方が凄かったりしてね。そういえば、写真展に行くと、上手いこと動線が出来ているなあって感じるんですが、アレってコンサートやCDの曲順を決めている感覚に近いんでしょうね。
  • そうです、そうです。
  • 今回の『歌写!♪』で花奈ちゃんがページ割りしてくれたんですけど、やっぱり曲順みたいに考えているんだなと思いましたから。
  • ベスト・アルバムの曲順を選んでるような感じですね。
  • 花奈ちゃんはプロだと思いましたよ。俺だったらこういうページ割りしないもん。
  • でも、写真のセレクトは本当に悩みました。会議室の壁に全部貼って。
  • 撮り過ぎちゃったんですよ、僕。
  • Chageさんは意見を言わなかったんですか?
  • 花奈ちゃんが丸印を付けた作品を見ると、なるほどやっぱりなと納得しましたから。
  • そういえば、Chageさんの曲を聴いて写真とリンクさせたいとも思いましたね。
  • 僕の曲の歌詞とリンクさせて遊んでくれているんです。それは僕のアイデアじゃなくて、花奈ちゃんが感じた写真と歌詞をリンクさせていて、凄く面白いと思った。
  • 写真集のタイトルを決めたのは?
  • 僕です。
  • “カシャ”ってシャッター音と、歌を写すっていう発想、凄いなあと思いましたよ。
  • ありがとうございます。写真集を出せたのはホント嬉しかったけれど、“写真展”も憧れますね。あの会場はライヴと同じだと思う。
  • (大きく頷き)同感です。
  • ですから、いつか音が聴こえる写真展をやりたいんです。写真が展示してあり、その脇で僕を含むミュージシャンがいる。音楽がスタートする。出来ればノーマイク。写真展なのに音が聴こえるんです。
  • いいですね!

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

一眼レフの動画モードがすごい!

  • そういえば、ニュー・シングル「まわせ大きな地球儀」のプロモーション・ビデオを一眼レフの動画で撮ったんです。あれも不思議な世界ですよね。レンズはカメラのレンズですから、だからこそ良かったりするし。
  • ボケとか綺麗ですよね。
  • これがあれば、ビデオカメラはいらないんじゃないかと思っちゃいました。
  • 僕のギャラリーにはラウンジがあるんですが、その壁に60インチのテレビを付けているんですよ。その画面では、撮った動画を流したりもしていてね。
  • いいですね。動画モード、いい!
  • ミニ映画みたいな。
  • そうそうそう。だから、最近ショート・フィルムを作っている人多いんですよね。
  • Chageさんが写真やってらっしゃって、ある意味、自分の領域とは別の幅を広げている、それはどういう感覚なんでしょう?
  • 僕は音楽しか知らなかった人間ですから、カメラと出逢ったことによって表現方法をもうひとつ増やすことが出来たと思っています。それがすごく嬉しいですね。ウクレレに凝ったのも同じなんですよ。ウクレレって、あれまた不思議な楽器でね。ギターなんかよりも全然小さくてシンプルだけど奥深いんですよ。たった4本しかない弦であそこまでの音楽を送り出せるというのは実に素晴らしい。最小限でありながら、気持ちの良いトコだけ詰まった楽器だから、指一本ポンと押さえるだけで世界が変わる。写真集のロケの時もずっとウクレレ持っていましたし、うん、ウクレレとカメラには助けられたな。

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

「&」や「WITH」で繋がる存在に気付いた時、「撮る」ことから「見せる」ことへ

  • 最新のアルバム・タイトルを『&C』にしたのは、常に僕には“「&」がいる”と改めて感じたからなんです。“誰かとChage”という気持ちが強くなっているんですよ。“ひとりで大きくなったと思うな、皆さんのお陰でお前が今いるんだぞ”という気持ちが高まっていると言ってもいいかもしれない。
  • ああ、今、鳥肌が立ちました。全く同感です。ただ、僕は“&”じゃなくて“with”なんです。いつもこの喜びを誰かに伝えたい、 そういう気持ちが常にありますね。
  • “with”もいいですね。いずれにせよ、多くの人たちが愛してくれているから今のChageが存在していると思うんですよ。だからこそ今は思い切り、Chageというキャラクラーを楽しもうとしています。この名前でデビューし、まさか50歳を過ぎてもChageと呼んでもらえるなんて想像もしていませんでしたし、なにより、50歳を過ぎて音楽をやり続けて来れたことに感謝しているんです。それはひとりでは無理だったことですからね。
  • 最近僕が感じているのは、“見せる”ことも含めて写真であるなと。これまで僕は撮ることに集中していたんですけど、今後はもっと“見せる”ことに気を使わなくては、と思っているんですよ。
  • 例えば?
  • プリントひとつにしても、あるいは展示の仕方にしても。レイアウトやデザインも含め、全てにおいてですね。例えばChageさんは、自分が気持ち良く歌っているだけではプロじゃないって言ってましたよね。その感覚と似てるような気もします。だから、カメラマンにとって“見せる”って大事なんだなと思うんです。
  • 写真は見てもらうためのアイテムですからね。
  • でもね、こんなコトを言ったら怒られるかもしれないけど、Chageさんの写真ってChageさんという存在が撮っているということ自体が、ある意味、スペシャルじゃないですか。そこが凄い武器ですよね。
  • そうだと思っています。だから僕は自ら“Chageが撮ります”って言っちゃうんです。
  • あのね、以前、こんなコトがあったんです。新幹線の中でカレーライスを食べながら「この味で千何百円っていうのは高いね」って。もちろん、ジョークですよ。そうしたら「ここは新幹線です。今、260キロで走っているその空間でカレーを食べているんですよ」と言われたことがありまして(笑)。それに似ているなぁと。
  • 中々、味わえないんだぞと!
  • そうしたら、急に付加価値が付いたんですよ、そのカレーに。僕が言いたかったのは、Chageさんが撮った写真も付加価値が付いている。それは100%武器だと。
  • そんな風に言ってくれると間違ってなかったなという感じがして、これからも邁進して行こうという気になってきました。嬉しいです。

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

写真業界の未来を案じて写真雑誌と写真教室をスタート

  • テラさんは『PHaT PHOTO』を創刊して10年、同時に写真教室のほうも10年になるんですよね。
  • 1991年に出版社をやめて独立しました。その後、結構いい感じで仕事をし、それなりにお金も入って来た頃、ある人から「全体の繁栄無くして個人の繁栄は長く続かないよ」と言われましてね。「写真業界も繁栄しない限り、テラウチさんの繁栄も長く続かないって言ってるんだよ」と。それでこのままではヤバいと思い、僕は一体何が出来るんだろうと真剣に考えたんです。それで、若い子も写真に興味を持ってくれるような雑誌があったらいいんじゃないかなと『PHaT PHOTO』を作りました。
  • もっともっと、俺たちみたいな、カメラ小僧が増えなくちゃいけない。
  • でも、雑誌だけじゃ足りないと思い、写真教室も始めました。最初は僕も教えていたんですけれど、10年経った今では、その教室から先生が誕生し、そういう現状を見ても、それなりに新しい写真ファンを増やしたんじゃないかと自負しています。
  • で、写真の世界はこれからどうなるんでしょうね。例えば、今、スライドショー的な機械が増えてるじゃないですか。アレ、ご年配の方がお孫さんのために買っているらしいんですけど、結局紙に戻るような気もするし。紙は無くならないでしょ?
  • 無くならないと思いますけどね。
  • 昔は、プロのカメラマンになる場合、大抵、エディトリアル・フォトグラファーかコマーシャル・フォトグラファー、或いはドキュメンタリーのフォトグラファーだったんです。でも、今は、新しくアートというジャンルが生まれているんですよ。美術館側で写真を買い始めたりしていますからね。これからは写真作家が増えていくんじゃないかなあ。
  • 要するにカメラマンもアーティストなんですよね。カメラが無かった時代は絵がアートの主導権を握っていたけれど、今は当然写真も芸術の域に入っている。あのね、僕はカメラってタイムマシーンだと思っているんです。
  • あっ、凄い、それ!(拍手)
  • カメラのお陰で過去を振り返ることが出来ますからね。だけど、撮る側もカメラも奥深さがどんどん出て来たことで、芸術になっているんでしょうね。だとしたら、カメラは今後、どこに向かっているのかな?

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

「イメージ通り」もいいけれどプラスαが生まれてこそプロ

  • 今、音楽業界は変わりつつあるけど、ライヴは変わらないですから。それを信じて突き進めば軸はぶれないなと思っています。ライヴが廃ることはない。だからちゃんとしたライヴをやらなくちゃいけない。
  • Chageさんのライヴはお客さんとの一体感が強いですよね。例えば、コンサートの時にいきなり客席から出て来てみんなをビックリさせたりしますよね。そういう構成の仕方は、編集と共通点がありそうですね。
  • どうなんでしょう? ライヴに関して言えば掴みも大事だと思ってますから。例えば、1曲目、オープニングはどうするか。そこでガッとこっちに引き寄せる。
  • 進行は自分で考えるの?
  • 考えます。そこに1番、エネルギーを注いでいるといっても過言ではないです。
  • だから私たちは心底楽しめるんですね!
  • 俺、ライヴをやる為に音楽を続けているんじゃないかと最近、思い始めているんです。ステージに上がりたいから新たな曲を作っているような……。その気持ちを形にしたのが最新アルバム『&C』なんですよ。
  • リハは念入りにするんですか?
  • その時のライヴの性質によります。CHAGE&ASKAの時は、それこそリハーサルを充分にして、その時点で完成形を作り込みました。なんせ、初日と最終日が同じ完成度で観てもらいたかったから。その為に練り上げ、本番では集大成を披露する。だからリハーサルは長かったですね。ソロになってからの僕は真逆です(笑)。CHAGE&ASKA時代と比べるとリハーサルは短いですよ。半分以下、もしくは3分の1かもしれない。リハで7割くらい出来たら、残りの3割はお客さんと自由に作ればいいという考えがあってね。
  • なるほどね。プロのカメラマンもイメージ通り撮れてるうちは、まだダメなんですよ。モデルさんとのプラスαが出て来ないといけない。イメージを超えなきゃいけないから、台本通りやってはいけないみたいなことが重要なポイントだと思いますね。
  • その通りですね。答えはステージに上がってから出していく。仮にぶれたとしても、はみ出さなければいい。それぐらい“揺らぎ”があった方が気持ち良かったりしますしね。お客さんのノリ、目の動きがリズムになって、僕たちミュージシャンもまたリズムを生み出していく。

Vol.3:テラウチマサト×三宅花奈

音楽家Chageが写真家ChageについにカメラのCMにも出演

  • 先程の続きですけど、Chageさんが本格的に写真を撮るようになった時のエピソードを教えてください。
  • CHAGE&ASKAのレコーディングをロンドンですることになって、それを知った雑誌の編集者さんが「だったら、是非、Chageさん、写真撮ってきてください」と言って、いきなり一眼レフを渡して来たんです。その時はまだ趣味も趣味でしたし、どうしようと思ったんだけど、とりあえず、ロンドンに着いて撮るしかないとシャッターを押しまくった。
  • ご自身はモデルにならなくていいんですか?
  • “Chageが撮る”という企画でしたから。だから、ヒヤヒヤでしたよ、最初の現像は。心臓がバックンバックン! ライヴでは緊張しない俺がドキドキ(笑)。結局、何枚かいいのがあって、赤で丸印付けてもらえました。
  • 最初からポジだったんですか?
  • ポジです。それから煽てられてカメラにハマった(笑)。そうしたらデジタルが登場したんで、すぐに買って……。あの頃、デジカメって画期でしたよね。
  • 本当にそうでしたね。じゃあ、だとしたら、まさか自分がカメラのコマーシャルに出るとは思ってもみなかったでしょ?
  • 全く、思ってなかったですよ。いやあ、僕を起用してくれたペンタックスさんは本当に勇気があるなと思います。嬉しかったですね。僕が写真やってるのをどこかで知り、それで採用してくれたんですから。それもまた縁を感じますよね。音楽とは別の世界ですからね。ただ、写真と音楽って似てるんですよ。
  • そうですね。Chageさんのおっしゃってることを聞いていると、凄く似ていると感じました。
  • 私も今日それを一番、感じました。ライヴ感やグルーヴ感も含め。
  • 僕ね、本当はライヴ会場でお客さんにデジカメを持たせたいんです。それで俺を撮って欲しい。夢なんですよ。1階席だけでもいい。そしたらファンの人たちが僕のどこを見ているかが解りますから。たった1曲だけ、撮影タイムを設けるの。
  • お客さんはデータを持って帰っていいんですか?
  • その曲に関してはいいんです。ほら、赤ちゃんの写真を撮るのが1番上手いのは、その子のお母さんだって言うじゃないですか。それと一緒で、ファンの子が僕を撮ったら、最高に良い写真が撮れるんじゃないかな。
  • うわぁ、見てみたいです!
  • みんなどんどん前に行きそう(笑)
  • 事務所に相談して(笑)、いつか実現したいですね。

Vol.2:タカハシカオリ

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