K-7 トップ 開発ストーリー
HOYA株式会社
PENTAXイメージング・システム事業部
開発統括部 第1開発部
新 丈晴
K-7のユーザーインターフェース概説
PENTAX K-7は、今までにない真の小型高級機を目指した製品で、K20Dから大幅なサイズダウンを要求されておりました。その一方で背面液晶パネルの大型化の流れも既定路線でしたので、K-7の操作系に思いを巡らすとボタン類の配置は、K20Dのような従来機種の枠組みにおさまらないと直感しました。
ワンハンド操作系を採用 ― ボディーの小型化と背面液晶パネルの大型化に適応した操作系
早速、K-7の操作系の見直しに着手しましたが「ボディーの小型化と背面液晶パネルの大型化」という課題の解決への糸口は、身近なところにありました。それは、エントリークラスのカメラとして大幅な小型化を実現したPENTAX K-mで採用している「ワンハンド操作系」です。メカ担当やデザイナーからの情報でも、同様の方向で検討が進んでいるとのことでしたので、実際にボタンを設置できそうな位置を確認して、中級機で採用している2電子ダイヤル操作系をワンハンド操作系に落とし込んで行きました。
しかしながら、中級クラスの操作系に求められるボタン類の数は、エントリークラスと比べて多いのも事実。そのすべてをグリップ側の背面に集約するのは、物理的に困難です。仮に無理に配置できたとしても窮屈過ぎて使い物になりません。そこで、ボタン類を撮影時に使用するものと再生時に使用するものとに分類して、前者はグリップ側の背面に、後者は背面液晶パネルの左上の位置に配置することによって撮影時のワンハンド操作系を実現させました。
ISOボタンを新設 ― 露出決定操作をいつでもダイレクトに行うことが可能に
「デジタルならではの露出決定パラメーターとして、感度を積極的に活用する」というコンセプトの下、PENTAX K10DにおいてSvモード、TAvモードという新しい露出モードを提案して以来、現行機種においてもその思想は継承されています。
その一方で従来の感度設定方法は、Fnボタン機能の1設定として扱われてきました。そのため、ファームアップ対応でOKボタンを押しながら前電子ダイヤル操作で感度選択、OKボタンを押しながらグリーンボタン操作で感度オートに設定できる機能を追加しておりました。
K-7では、この考えを一歩進めてISOボタンを新設し、露出補正ボタンと同格の位置に配置することによって、シャッター速度、絞り、感度、露出補正という露出決定に必要な設定は、すべてダイレクトに操作できるようにしました。
また、PENTAXデジタル一眼レフの2ダイヤル操作系の特長である電子ダイヤルカスタマイズも考慮し、前後電子ダイヤルのカスタマイズ状態を明確にするため、ステータススクリーン表示はシャッター速度、絞り、感度、露出補正をメインとした画面構成となるようにしています。
撮影時の十字キーを積極活用 ― 「わかりやすさ」と「使いやすさ」の両立をめざす
ボタン配置の見直しによって、十字キーには各種撮影機能を割り当てています。各機能を表すアイコンをボタンに印刷して「わかりやすさ」を向上させるとともに、設定変更時もダイレクトにアクセスできるようになったことで「使いやすさ」の面でもメリットを訴求しました。
ただし、測距点移動との競合が発生するため、十字キーの動作状態を「撮影機能呼出し可能」と「測距点移動可能」とで切り替える方式を採用しました。そのため、ステータススクリーンやファインダー内で動作状態がわかるように表示を工夫して対処しました。なお、この方式を採用したことで、測距点を移動した状態をワンプッシュでロックする活用術が新たに生まれました。
開発陣泣かせの多機能カメラ ― ユーザーの多様なニーズに対応
これまでK-7の主な操作系変更点とその意図について述べて参りました。この他にも本格的なライブビュー撮影や動画モードへの対応として、各モードの起動・終了方法やモード中の操作方法、各種情報表示などユーザーインターフェース(UI)を新規で設計しました。また、ハードウェア面に限らずソフトウェア面でも新機能や従来機能のブラッシュアップなど随所にUIを見直さなければならない箇所があり、ボタン配置も従来と違うため、それらの整合をとるのに苦労しました。
例えば、K-mでご好評いただいたデジタルフィルター機能ですが、作成後の画像にどのフィルターを使ったのかが分からない、といった反省点もありました。K-7では、フィルター処理の履歴表示や重ねがけしたフィルター処理の再現、フィルターをかける前の元画像を検索する機能などを盛り込むことで大幅に使いやすさを向上しています。ぜひ、デジタルフィルター機能を使って、従来の写真とは異なる新たな作品づくりにもチャレンジしていただきたいと思っています。他にもPENTAX独自の手ぶれ補正機構(SR)ならではと言える自動水平補正機能や構図微調整機能、さらには電子水準器やHDR撮影、レンズ補正機能など、新機能が「てんこ盛り」です。実に開発陣泣かせのカメラでした。
カスタマイズ項目についても各種豊富に取り揃えましたので、多様なニーズに対応できる「懐の深さ」をもったカメラに仕上がっていると思います。ぜひ、じっくりと「自分のお気に入り設定」を見つけてください。
最後になりましたが、デジタルKシリーズで初めて一桁番号を与えられたカメラであることは、それだけの理由があるからです。実際にお手にとってご覧になれば、きっとご納得していただけると思っております。
ISOボタンを新設し、露出に必要な設定はすべてダイレクト操作が可能になった
十字キーに各機能のアイコンを印刷。わかりやすさと使いやすさを両立している
デジタルフィルター履歴画面。重ねがけしたフィルターをわかりやすく表示している