デジタル一眼レフカメラ、PENTAX K-7の開発ストーリーをご紹介します。

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開発ストーリー

PENTAX イメージング・システム事業部 開発統括部 第1開発部

HOYA株式会社

PENTAXイメージング・システム事業部

開発統括部 第1開発部

平井 勇

 

 

鮮やか

 

雅(MIYABI)

 

ほのか

カスタムイメージから、初期設定の「鮮やか」、独特な色彩の「雅(MIYABI)」と「ほのか」。コクのある独特の色彩が得られる「雅(MIYABI)」では青空に特長が、「ほのか」では従来にない空気感を表現している

 

 

 

 

 

オートホワイトバランス(AWB)

 

CTE

AWBは色再現の安定性を高める目的から、色温度の違いが色に与える影響を補正するのに対し、CTEは逆に色を強調する方向にホワイトバランスを調整する新しい発想のモード

描写力の高さと多彩な画質設定が魅力

上質な質感描写

K-7は、Kシリーズ初の一桁機という名称があらわすとおり、当社のデジタル一眼レフカメラの中で上級機の位置づけとなります。PENTAXでは、初代のデジタル一眼レフカメラ*ist Dの時から一貫して自然な質感描写を大切にしてきましたので、画質設計チームとしてもそこをさらに追求し、K-7の名前にふさわしい画質を得られるようにすることを、開発当初からの目標に掲げました。

それでは、K-7が目指すべき質感描写とは何なのか?それはやはり定評あるPENTAXレンズの性能をどこまで引き出せるかに尽きると思います。具体的には、実写評価を繰り返しながら個々のレンズに味わいを持たせた、Limitedレンズならではの特徴的な描写を余すことなく引き出せるかどうか、さらにはスターレンズのように、ピントが合った部分は圧倒的に鋭いシャープさが得られながら、被写界深度から外れた部分では美しいボケ味を楽しめる画づくりが楽しめる製品に仕上げたい。そのため、被写体のディテール再現をより高品位にすることと、従来以上にキメを細かくし、質感のある表現を実現することに重点を置いて設計にとりかかりました。

また、カスタムイメージの全モードにおける基準値も細かく再調整し、その結果、K20Dと同じ解像度でありながら、さらに線が細く、きめ細やかな描写ができるようになっています。

高速画像処理エンジンPRIME II

K-7では画像処理エンジンPRIME IIを新たに採用し、さまざまな処理を高速化しています。その結果、従来のPRIMEでは困難であった高度なアルゴリズムを盛り込むことが可能になり、より繊細に輪郭部を再現するとともに、低コントラスト部の再現も細密化することで、これまでにない高い次元での質感描写を実現しています。

例えば、K20Dでご好評を頂いたファインシャープネス機能ですが、K-7ではより精細な描写を狙うことができるようにリファインしています。シャープネスを強くしても線を太くせずに細かな輪郭強調を行なうのがファインシャープネスの元々のコンセプトですが、K-7ではK20D以上に本来のコンセプトに近づけるようなチューニングを施して、よりキメ細やかなコントロールを可能にしています。一方、メリハリを効かせたい場合は通常のシャープネスというふうに、被写体や好みに応じて2種類のシャープネス効果の違いを楽しんでいただければと思っています。

また、高感度撮影時に目立ってくるノイズについては、むやみに潰して質感や解像感を損ねることが無いように細心の注意を払いながら、色ノイズの低減に努めています。

多彩な映像表現

PENTAXのデジタル一眼レフカメラには、画質の仕上げを撮影者の好みや撮影シーンによって使い分けてもらえるよう、多くのカスタムイメージ機能を搭載しています。「鮮やか」、「ナチュラル」、「人物」、「風景」、「モノトーン」に加え、K20Dでは、独特な色彩が得られる「雅(MIYABI)」を採用しましたが、K-7では新たに、ハイキーで淡い色調の「ほのか」を追加しています。「ほのか」も、「雅(MIYABI)」と同様に開発側からの提案として生まれた画づくりで、単に色を薄くするのではなく、彩度を抑えつつもしっかりとした発色にし、それを引き立たせてやわらかな印象が得られるよう、コントラストとキーを調整しています。空気の色まで表現したいという設計者のこだわりから、「空気感」をキーワードに仕上げた「ほのか」の味わいを、ぜひお試しいただければと思っています。

また、K-7のカスタムイメージには、従来からの「色相」、「彩度」、「コントラスト」、「シャープネス」といったパラメータに、「キー」、「コントラスト ハイライト調整」と「コントラスト シャドー調整」を追加しています。

「キー」は写真全体の微妙な明るさのコントロールに最適で、+(プラス)に振るとハイライト部の階調を豊かにして白飛びを抑えつつ明るいイメージに仕上げ、−(マイナス)に振ると、シャドー部の階調を豊かにして黒つぶれを抑えつつ暗いイメージに仕上げます。「コントラスト ハイライト調整」と「コントラスト シャドー調整」は、シャドー部、ハイライト部の微妙なコントラストのコントロールが可能です。どちらも、階調表現にこだわりを持って写真を撮影される方に満足して頂ける機能だと考えています。

K-7では、徹底した質感描写の追求に加えて、シャープネスや彩度を非常にきめ細かく調整していただける機能も強化しました。さらに、デジタルならではの機能といえるHDR(ハイダイナミックレンジ)や、デジタルフィルター機能も豊富に備えています。Limitedレンズやスターレンズに代表されるような、高性能レンズの描写再現を重視した設定から、シャープさやコントラストをアップして、自分好みのスパイスを効かせた描写まで、さまざまなカスタマイズが可能ですので、ぜひお気に入りの設定を見つけていただきたいと思っています。

オートホワイトバランスへのこだわり

K-7のオートホワイトバランス(以下AWB)では、これまでの経験値をフルに生かして、高い精度と安定性を実現しました。また、白熱灯の補正の強弱もカスタムファンクションにて設定できるようになり、撮影者の好みをより細かく反映できるようにしています。こうした基本部分をしっかり抑えた上で、K-7では新たにCTEを採用しました。一般的に、AWBは光源や環境光の偏りを無くす方向に補正するよう動きます。しかし、夕景や青空、木洩れ日のような緑の透過光、やや日の傾いてきた暖かい光などは、AWBの性質上、表現しにくくなってしまいます。CTEは、撮影テクニックでよく言われる「夕焼けの撮影は、WBを日陰モードに」といったノウハウをカメラがインテリジェントに判断して、シーンがより印象的になるようなホワイトバランスを自動的に設定します。AWBの1種としてはなかなか理解し難い設定のため、当初は社内的にも反対意見があったのですが、多くの作例を用意して納得してもらい、採用にいたりました。通常のAWBのチューニングに加えてCTEのチューニングも行う必要があり、大変な作業量でしたが、CTEとカスタムイメージの「雅(MIYABI)」や「ほのか」と組み合わせた実写画像を見て、苦労して開発した甲斐があったと実感しています。

動画で始まる新たな表現

K-7では、PENTAXの一眼レフとしては初めて動画記録をサポートしています。そのクオリティは、ひとコマひとコマが、まさに写真画質。一眼レフ用レンズの描写力が充分に生かされています。また、静止画と同様に動画撮影時にもカスタムイメージやホワイトバランスの設定が可能なので、「ほのか」やCTEを駆使した動画を楽しむことができます。これらの設定機能に加えて、豊富で個性的なPENTAXレンズ群を使用することにより、単に思い出を残すだけでなく、新しい映像表現を創るための機能としてご提供できたのではないかと考えています。

最後になりましたが、K-7の持つベーシックな描写力の高さと、多彩な画質設定機能を存分に楽しんでいただきたく、また、素晴らしい作品創りの一助になればと思っております。

新画像処理エンジンPRIME II。高度なアルゴリズムにより、繊細に輪郭部を再現するとともに低コントラスト部の再現も細密化している

カスタムイメージ「ほのか」の設定画面。空気の色まで表現したいというこだわりから、「空気感」をキーワードに仕上げたモード